ha-na-bi / 走る女

隅田川花火の日。

いつもの歩道橋を渡ろうとしたところ警備の方に止められた「今日は一方通行です」 そんな話は聞いてない。道すがらどこに案内が貼ってあった訳でもない。 「あっち側に行きたいんです」「じゃあ、向こうの信号で渡ってください」今、そこから歩いてきたんです！

今思えばたいしたたいしたやり取りではないのだが、無性に腹が立った。

イライラと街路樹の柳に八つ当たりしながら歩く。 やり場のない苛立ちに心を決めた。よーし、走ってやる！

信号が青になるのを合図にスタート。家までノンストップ。全力で走った。 こんなに全力で走ったのはきっと学校の運動会以来。そしてイライラはほとんど治まってしまった。

「ムシャクシャしたら走る」 これは新たな気付きのための経験だったのだ、と思うことでよしとしよう。

そしてもうひとつ。言葉にせず飲み込んだ反論。 自分の中に溜めて引きずるくらいだったら、たとえ解決にならなくてもアウトプットしようと思う。