sin? / 欲深な女
こう見えて「欲深な女」です。しかも、執念深いです。 除夜の鐘を百八つ数えたら己が消えてなくなるのでは、とハラハラするほど煩悩のかたまりです。
去年の今頃、日本橋で石見焼のこね鉢に出会いました。
ぽてっとしたシルエットと緑がかったベージュになんとも惹かれました。
「欲しい!」でも不用意にモノは増やしたくない。いる?いらない?を繰り返しながら何度となく店に通う日々。
そしてとうとうラストのひとつ。「どうする?」「そうだ、今日は少し遠くからも見てみよう」
売り場を離れたその時、熟年のご夫婦が「あら、いいわね。どう?」「いいんじゃない。買えば?」「そうね!」それは一瞬の出来事でした。
でも、いいの。私には縁がなかったのよ。もう悩まないで済むじゃない。。。そうよ。いいの。。。
ところが先週、いつものように店の前を先週通りがかると、一年ぶり、まさかの再入荷!今度は悩まぬように。
でも失敗はしないように。焦らず慌てず。家に戻って置き場所を採寸し、そのままメジャーを持って店へ。
「すみません。この鉢、サイズを計っていいですか?」大はサイズオーバー、小は少し小ぶりだけれど置ける。よし。
今度は同サイズをひとつずつ慎重に見比べ、焼き色や微妙な形を確認しながら絞ってゆく。ロックオン。
「コレ、いただきます」
一年越しで手にしたこね鉢は2,808円也。
そう、いいの。値段ではないの。いらっしゃい。我が家へようこそ。
帰り際、店員さんに「失礼ですが、何に使われるんですか?」と聞かれました。確かに。。。
でも、一番欲しいものはきっとお金では買えないし、「欲しい」という気持ちがあるうちは手に入らないのだろうな。